松田聖子アルバム「We Are Love」研究第1回~当時の背景&収録曲「Listen!!」について~
1.「We Are Love」発売時の聖子
こんにちは、研究員第一号のいっきゅうと申します!
今回は1990年発売の「we are love」を取り扱おうと思います。
アルバムの内容に入る前に、1990年頃の聖子について整理しておきましょう。
1.1「precious moment」
1989年6月30日にサンミュージックとの契約を満了した聖子は「ファンティック」という個人事務所を立ち上げついに独立することになります。
この時にいわゆる「80年代聖子プロジェクト」はほぼ終了したと言っていいでしょう。(。-`ω-)*1
そして同年12月6日、オリジナルアルバム「precious moment」をリリース。
これが80年代最後のアルバムとなるわけですね。
なんとここまでの10年間で16枚ものオリジナルアルバムを発売!
いや~本当すごいですね、これほどの短期間に多くの作品を残せるのは、基本自分では作詞作曲しないことの大きなメリットの一つだと強く思います。
また、このアルバムでは聖子が全作詞を担当。「Precious heart」一曲を除いて大村雅朗氏が編曲しています。
大村さんが製作に深く関わってくれるのは聖子にとっては、ひじょ~~~~~に!心強かったんじゃないかな……!そんな気がします。
聖子は大村さんに音楽家として絶大な信頼を寄せていたはずです。また、大村さんも聖子のボーカルに心底惚れていたに違いないです。
……と、こういうことを語り始めるとめちゃくちゃ長くなってしまうのでこの話はまた今度ということで……。
このアルバムは大村さんが関わった最後の聖子作品でもありました。(櫻の園を除く)
1.2「seiko」
そして1990年6月7日に「seiko」というアルバムをSeiko名義でリリース。
- アーティスト: Seiko,MICHAEL BOLTON
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
- 発売日: 1990/06/07
- メディア: CD
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このアルバムは評判があまり良くなかったのですが、後のアメリカでの仕事や、それこそ今正にやっているSeiko JAZZの仕事に繋がったと考えれば大いに意味のある挑戦だったと思います。
失敗を恐れていては新しい挑戦などできません。
1.3「we are love」
そして、同年12月10日に「we are love」を発売。
seiko-laboratory.hatenablog.com
前回の記事の通り、ロックに精通する笹路さんが「聖子ちゃんが歌うロック、ポップス」を適度なバランスで上手く表現していると思います。
他の笹路正徳作品に比べると大人しめのアレンジに聴こえます。
楽器が主張し過ぎて歌を邪魔しないように、あくまで主役は聖子の歌声だということを笹路さんはよく分かっていたのだと思います。
逆にいえば、ロックな曲(listen、drive me to the sky)だとギターが大人しくて物足りないと感じたりもしますが、これはこれで「聖子ちゃんロック」として成立してるので僕は好きですね。d( ̄  ̄)
松田聖子が今までの自分のイメージを自分で壊し、新たなる一歩を踏み出し始めたアルバムです。
ちょうどこの頃はバンドブームでアイドル冬の時代の幕開けでしたし、80年代のアイドル聖子路線だけではマンネリも否めませんし、方向性としては悪くないんじゃないかなと思います。
とはいえ、まだいわゆる「松田聖子イズム」な曲は残っている印象(kiss me please、本気にS・O・R・R・Y、浮気なMy Boyなど)。
「Kiss me please」楽曲研究はこちら↓
seiko-laboratory.hatenablog.com
「本気にS・O・R・R・Y」楽曲研究はこちら↓
seiko-laboratory.hatenablog.com
聖子ちゃんもこの辺りのバランスは気にしてたんじゃないでしょうか。聖子は賢い人だと思いますし、根っからのプロデューサー気質な人ですから。
とはいえ、松田聖子が完璧にプロデュースを始めたのは1992年のアルバムからなので、まだ「we are love」では聖子一人で操縦桿を握っていたわけではないでしょうが……。
後の1994年かなんかの「Video Bible」でも、似たようなことを言っていました。
その部分を少し引用してみます。
私を15年間支持してくださって応援してくださってる、要するにファンの皆さんが、好きな私の部分っていうか、なんかこれぞ松田聖子ポップスみたいな?なんかああいうものを好きっていうところも大事にしていきたい、と思うのね?なんか、例えば自分がすごいハードなダンスダンスをやりたいからって、皆の思いを無視して、それでいいかっていうと、そうじゃないって思うし、やっぱり皆が好きでいてくれる部分は残していきながら、でも同じところに留まってちゃいけないっていうか、もっとそれよりは新しいものをも、求めていかなければいけないっていうそのバランスが、毎回アルバムを作るときに、音楽を作るときに、一番大きなテーマになってくるというか。
この精神は、「seiko jazz」をやっている今でも生きているんじゃないかな、と思います。(。-`ω-)
次回作の「1992 nouvelle vague」からはダンスミュージックが多く歌われるようになりますが、今作ではそういった曲はないですね。(強いて言えばレモンティーとチョコレートパフェ?)
2.「Listen!!」(コード進行)
今回は「Listen!!」について少し掘り下げようと思います。
作詞 Seiko Matsuda 作曲 Achilles 編曲 笹路正徳
8ビートのロック風な佳曲。
アルバム一曲目に相応しく「カモン、ベイビー!」という聖子の呟きの後、ドライブ感のあるギターのリフで軽快に始まるのが好きです。
簡単にコード進行をとってみたので書いていきます。(間違ってたら教えてください>_<)
聖子が「カモン、ベイビー!」と言った後からです。
| D | D | D | D |D | D | E | F#m |D | D |E | F#m | DM7 | DM7 | G(9.11) | G(9.11) |
Aメロ、Bメロではギターほぼお預け。
聖子の歌をきちんと聴かせようということなんでしょう。
あまり過剰に音を飾り付けずに余計なものを削ぎ落すアレンジは元々の作曲時点で優れていれば、とても有効だと思うんですけど、これは曲自体はかなりシンプルなのでアレンジや耳に残るギターリフの勢いで乗り切った方がいいんじゃないかって思いました。
続きAメロ
| A | A | Bm | Bm | D | E | EonF# | EonF# F#m |
A | A | Bm | Bm | D | E | F#7sus4 | F#7sus4 |
キーはA。
ベースは基本的にルート音を8分で刻むだけで特にこれといった工夫はなし。とはいえ歌のメロディ部分が面白ければいいんですが、それも平坦な感じで別に面白くないので、退屈といえば退屈な部分……(;_;)
Bメロ
| G | A | F#m | G | Em F#m G| G A | B♭ | C |
キーはD。転調して盛り上がりを演出してます。
キーボードの白玉を足したりコーラスを入れたりして、少々寂しかった感のあるAメロよりちょっと厚みがありますよね。
最後のB♭→C→D(♭VI→♭VII→I)と続くコード進行は「夏の扉」でも出てきていて印象的でした。(私をどこかつれていっての部分)
サビ
| D A Em|Em Bm | G | G | Em | Em A | D A Em|Em Bm | C | C | D |Em | F#m | Bm | C | Em A |
キーは恐らくD。
至ってシンプルなコード進行ですが別にひねる必要があるような曲でもないのでこれで良いと思います。
サビのメロディーの「おーねーがいや、め、てー、きずつーけ、な、い、で、よ、ねー」の太字の部分が裏拍に来ているんですけど、下の動画での聖子とかもリズムきっちり合ってるんでそこは本当にさすがだなって感じる。リズム感に定評のある聖子ちゃん!(((o(*゚▽゚*)o)))
3.最後に
まだまだ「we are love」については語り足りないし掘り下げたい曲もあるので、また何度か?記事で近々取り上げると思います。( ´∀`)
それでは皆さん、また会いましょう!(@^^)/~~~