松田聖子研究室

松田聖子の楽曲はもちろん、彼女に関するありとあらゆるものを20代の研究員が独断と偏見により徹底的に研究します!

松田聖子「Rock’n Rouge」楽曲研究第2回~裏コードという概念

こんにちは、研究員第一号のいっきゅうと申します!

今回は「Rock’n Rouge」の楽曲研究第2回です!

前回はAメロのリズム、ビートについて語りましたね。ヾ(@⌒ー⌒@)ノ

 

今回はこの曲のコード進行に注目してみようと思います。

 

 

Rock'n Rouge

Rock'n Rouge

  • 松田 聖子
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

 

作詞は松本隆さん、作曲は松任谷由美さん、編曲は松任谷正隆さんです。

 

 

前回の記事はこちらです!

 

seiko-laboratory.hatenablog.com

 

 

 

1.イントロ

キーはCです。

|C|B♭onC |FonC|A♭onC|C|B♭onC |FonC|A♭onC   A♭ B♭ C|Aメロに続く

 

はい出ました!

 

この曲のヒットを決定的なものにした印象的なイントロが!

 

このコード進行を思いついた時点でこの曲の半分は完成したといっても過言ではない?ぐらい癖になるイントロですよね。

 

そしてこのコード進行はAメロにもそのまま使われています。

 

1.1分数コードを巧みに用いる

作曲者(つまりユーミン)がどうやってこのイントロを作ったのか、と考えてみましたが、

 

恐らく最初に「同じベースの旋律を繰り返す」ことを決めたのではないでしょうか。

 

「分数コード」を巧みに用いてベースを C で固定する、この曲の発想はそこから始まっているのでしょう。

 

ベースは一定のパターンを何度も繰り返しますが、コード進行自体が変わるので飽きないんですねー!(´・ω・`)

 

また、似たような考えに「ペダルポイント」というものがありますね。
ペダルポイント」についてはこの記事で解説しています。(゜o゜)

 

seiko-laboratory.hatenablog.com

1.2同主短調からの借用

それから、ここでのコード進行で使われている非ダイアトニックコード、いくつかの方法で解釈ができるかと思いますが……

 

ここでは「同主短調からコードを借りている」と考えるのが単純明快でしょう!

 

「B♭」と「A♭」はどちらもCナチュラルマイナースケールのダイアトニックコードです。

 

この同主短調からの借用和音を挟むことで、メジャースケールなのかマイナースケールなのかのはっきりとした色が出ずにふわっとした感じになるんですね。(*'▽')

 

特にここでも使われている「♭VI」と「♭VII」は頻出なので要チェックです!
ちなみに、こちらの記事で研究している「真冬の恋人たち」のイントロでも同じく同主短調からの借用が行われていますよ!
seiko-laboratory.hatenablog.com

 

2.Aメロ

キーは同じくCです。

|C|B♭onC |FonC|A♭onC  A♭  B♭ C|C|B♭onC |FonC|A♭onC A♭ B♭Bメロに続く

 

2.1イントロのコード進行をそのまま持ってくる

一目瞭然ですが、イントロの進行をAメロでもそっくりそのまま使っています。

 

こうすることによって、スムーズにAメロに移行することができているのですね!( *´艸`)

 

 

 

 

3.Bメロ

キーはE♭です。お馴染みの短三度上の転調ですね。( ^^) _旦~~

 |A♭|A♭ |E♭onG|E♭onG|Fm7  A♭M7|Fm7  A♭M7|G7sus4G7  C|Aメロに戻る

 

ここでのG7はセカンダリドミナントです。

 

3.1「差別化」を図る

イントロやAメロとは打って変わって、スケール内の音を使ったコード進行になっています。

 

ふわっとした印象のあるAメロから、きっちりとメジャースケール感のあるBメロに。

 

差別化」をして楽曲にメリハリをつけているのです。(*‘ω‘ *)

 

BメロでAメロとの差別化を図ることについては、こちらの記事でも取り上げています。↓

seiko-laboratory.hatenablog.com

 

 

3.2 短3度上の転調

短3度上に転調するテクニックは作曲するにあたってよ~~~く使われます。

 

CナチュラルマイナースケールとE♭メジャースケールは構成音が全く同じであり、
違和感なく転調することができるのです。*1

 

 短3度上の転調はこちらの記事でも取り上げていますよ!↓

seiko-laboratory.hatenablog.com

 

 

イントロ→Aメロ→Bメロ→Aメロ→Bメロときてついにこの曲はCメロ(といっても短いけど)に突入します。(^。^)y-.。o○

 

4.Cメロ

キーはCmです。

|Bdim7|Cm  E♭onB♭|A♭  B♭|C|サビ(ピュアピュア)へ

 

キー=E♭からBdim7を経てキー=Cmに転調。

 

後半の|A♭ B♭|C|の流れはAメロの4小節目と同じ流れですね。(´▽`)

 

4.1ドミナントの代理としてディミニッシュを使う

Bdim7の構成音は「B、D、F、A♭」となり、これはG7(♭9)とほぼ同じです。

 

この場合、Bdim7はドミナントのG7の代理になり得て、Cmへと進むドミナントの役割を担います。

 

このドミナントの代理として使われるのは、ハーモニックマイナースケール*2上のダイアトニックコードのVIIdim7です。

 

今回、このBdim7の部分だけCハーモニックマイナースケールになっているんですね!

 

5.サビ

キーはCです。

|C|Dm7 |G7|C|Am7 |Dm7   B♭7|Am7  D7|Gsus4|  G7|Dm7 |G7|C|A7 |Dm7 B♭7|Dm7onG |C|イントロに続く

 

 5.1メロディはそのまま、伴奏は変える

サビの始め、「ピュアピュアリップス」と「気持ちはYes」は言うまでもなく同じ音程、リズムです。

 

ですが、メロディのバックで鳴る伴奏を変えることによって、同じメロディでもガラッと印象は変わります。

 

今回、「ピュアピュアリップス」の時は|C|Dm7 |G7|であり、皆さんご存知ツーファイブですね。どちらかというとドラマチックな響きになっています。

 

対する「気持ちはYes」の時の進行は|G7|C|Am7 |であり、I→VIm7と落ち着いた流れになっています。

 

このように、「メロディはそのままで、コード進行は変える」というのはよーく使われているテクニックなんですね。(>_<) 

 

そうそう、同じテクニックがこの曲のAメロでも使われていますよね!

 

「(ベースの)メロディはそのままで、コード進行は変える」ってことです!ヽ(^o^)丿

 

5.2裏コード

KISSはいやと言っても 反対の意味よ

Rock'n Rouge 松田聖子 - 歌詞タイム

ここでの「いーやといってもはーんーたーいーのーーーいみよーー」の部分のコード進行が|Dm7 B♭7|Am7 D7|Gsus4 |G7|です。

 

この部分はもう一時的転調しまくりで……(笑) 

 

まず気になるのが「B♭7」ですが、これは例によってキー=Cの同主短調、つまりCナチュラルマイナースケールのダイアトニックコードだという考え方ができます。

 

そしてもう一つ、次にAmが来ていることからこのB♭7はE7の裏コードとも言えます。

 

……といきなり言われても「???」って感じだと思うので簡単に説明します。

 

結論から書くと、ドミナントの V の代わりに皆さんは ♭II を使うことができるんです!ヽ(^o^)丿

 

今回の場合だと、本来Am(I)に進行したいときのドミナントはE7(V7)ですよね?ここでE7の構成音を見てみましょう。

 

E7・・・E G♯ B D

 

次にB♭7(♭II)の構成音を見てみましょう。

 

B♭7・・・B♭ D F A♭

 

ここで何かに気付きませんか?

 

そうです。どちらにもDとA♭(G♯)が入っています。(*‘ω‘ *)

これがトライトーンと呼ばれる重要な要素であり、これが♭II7にも入っているのでG7の代わりに使うことができるんですね!

この♭II7がいわゆる裏コードと名付けられているのです!(´_ゝ`)

 

5.3余白のあるメロディ

Aメロ、Bメロと盛り上がってきてさあサビはどうなる!?ってところで「ピュアピュアリップス」や「気持ちはyes」等非常に短いフレーズが来るところに意外性がありますよね。

 

最初にこのサビを聴いたときはもう度肝を抜かれた想い出があります(笑)そう来るか~って感じ。( 。゚Д゚。)

 

こういう詰め込みすぎないメロディ、ある程度短いフレーズを使って余白を残すメロディって僕はすごい好きなんです!(*>∇<)ノ

 

そんでもって聖子ちゃんの歌いかたが上手くて、ついBメロ最後の勢いのまま「ピュアピュアリップス」を歌ってしまいそうですが彼女はきちんとテンションを抑えて、フォルテからピアノに落として歌ってるんです。

この辺の強弱の付け方とかは見事だなーって感じます。( ノ^ω^)ノ

 

「まあまあ一旦お茶でも飲んで落ち着こうか」ってサビで聖子ちゃんに諭されている

気分になります。(*T^T)

 

6.全体総括

最後に聖子ちゃんの歌について触れたいのですが、これがやっぱり素晴らしいんですよね。

第一回でもAメロの歌唱の巧みさ等にもう既に触れていますが、全体を通して聴いても聖子ちゃんの歌唱は文句なく良いなあと感じます(*´▽`*)

 

あえて曖昧な表現をしますが、彼女はこの曲の本質を正しく理解し、曲の魅力を最大限引き出す最適解を見つけ出し、しっかりとそれを表現できていると思います。

 

この「本質を理解する」という能力は本当に持って生まれた才能だと僕は思います。

 

正直もっと書きたいこともあるのですが、長くなるのでそれは第3回の時に書きたいと思います。

 

 

 

 

 

 

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*1:Aメロの終わりには一時的にキー=Cmになっています。

*2:ナチュラルマイナースケールの第7番目の音を半音上げたもの。詳しくはまた後日。。。