松田聖子研究室

松田聖子の楽曲はもちろん、彼女に関するありとあらゆるものを20代の研究員が独断と偏見により徹底的に研究します!

「真冬の恋人たち」楽曲研究・前編~「真冬の恋人たち」は「元祖Seiko Jazz」!?~

こんにちは、研究員第一号のいっきゅうと申します!

 

今回は言わずと知れた名曲「真冬の恋人たち」を研究していこうと思います!(@^^)/~~~

 

80年代前半の聖子曲の中でも人気が高いこの曲。

真冬の恋人たち

真冬の恋人たち

  • 松田 聖子
  • J-Pop
  • ¥250

 

最初に言っておく!これはか~な~り、好きだ!

 

このブログを読んでいる人の中にこのネタが分かる人はいるのか?

この曲はまだ僕がそこまで聖子ちゃんファンではなかった頃(でも好きでいろいろ曲漁って聴いてた頃)に初めて聴いた時から、一目ぼれした曲ですよ。

アルバム「Candy」の中だったらこの曲が断トツで好きです。

 

もうね、一発で曲の世界に引き込まれました。

 

歌で人を魅了するってきっとこういうことなんだろうなと、理屈じゃあないんだなと。

 

とはいえ、このブログで「理屈」を否定してしまうと書くこともなくなるし趣旨にも反するのでさっそくこの曲を理論的に掘り下げていきましょう!(*´▽`*)

 

1.シンプル イズ ベスト

 

まず、この曲を聴いて思うのは、

 

必要最低限の音で作られていて、余計な音の装飾があまりないな

 

ということです。

 

ギターもシンセもかなりおさえめで小さじほどしかトッピングされていない。

 

ストリングスもペダルポイント等を意識して効果的に使われているから、いわゆる「ごちゃごちゃしてうるさい」なんてことにならないわけです。

 

正々堂々、楽曲の良さで勝負してやるぞという大村さんの強い意思のようなものを僕は感じます。( ; ゚Д゚)

 

本当にいい曲はフォークギター一本orピアノ一台と歌声だけでもいい曲になり得ます。( ☆∀☆)

 

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2.ドラムとベースが素晴らしい

皆さんもこの曲を改めて聴くにあたって、何度かドラムとベースに注目して聴いていただきたいんです。

 

いい曲は土台となるドラム&ベースがしっかりしているものですが、この曲も例に漏れず素晴らしい演奏を魅せています。

 

2.1拍子、リズムについて

まずドラムに注目していきたいんですが、その前にこの曲のリズムについて簡単に説明しておきましょう。

 

この曲の根底にはスウィングのリズムがあります。

拍子でいうと、3連符が4つ並んだ四拍子、もしくは12/8拍子ですかね。

 

スウィングというのはー、あー、口で説明しづらいというか、実際に聴いた方が分かりやすいと思うんですけど、

「タータ」「タータ」「タータ」「タータ」と跳ねるようなリズムです。やはり分かりづらいね。

 

3連符の中抜きとも言いいますね。

無理やり視覚的に書いてみると、

「♪♪♪」「♪♪♪」「♪♪♪」「♪♪♪」

 

これが

 

「♪ー♪」「♪ー♪」「♪ー♪」「♪ー♪」

 

こんな感じです。

ピアノもこのリズムで弾いてますよね。

歌のメロディもスウィングしているところが多数あります。

サビの一部分でもドラムがスウィングで叩いていたりします。

このスウィングというリズムは非常にジャズ的でもあります。(*‘∀‘)

 

2.2ドラムの強弱

そもそもこの曲Aメロの時点ではドラム叩いていないんですよね。

 

それでもピアノのスウィングのリズムがあるので、聴き手もリズムに乗ることができます。

 

そしてAメロ終わりのストロークからBメロに突入して静か~にオフビート*1で入ってきて曲にメリハリをつけて徐々に盛り上げていく。

 

 サビに入りスネアも使って曲に勢いをつけ、強弱でいう「強」の部分を見せつけた後、

それでいいの それでいいの

真冬の恋人たち 松田聖子 - 歌詞タイム

 の部分では強弱でいう「弱」にすっと切り替わる。

 

この強弱の「弱」の部分が上手いとより曲の世界にぐっと引き込まれるんですよね!

 

それにここでのスウィングも歌メロときっちり連動していて気持ちいい。(「そーれ、でーい、いーの」とはねている。)

 

さらにその後

あなたがだいすき

のパートで一気に「弱」から「強」にクレッシェンドしていき、

間奏の部分はしっかり「強」で盛り上げるという。

 

まあこのメリハリの付け方というか、強弱というか、すごい上手いですよね。

 

いや~たまんねえ~!!このドラムだけでご飯3杯はいけるね!!!うん。

 

確認してみたら、渡嘉敷祐一さんという方が叩いているようです。

皆さんも、この素晴らしいパフォーマンスに拍手を!ヽ(^o^)丿

 

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2.3リズムを引き立たせるベース

 続いてベースについて。

Aメロ、Bメロではしっかりと場をわきまえて抑え目で最低限のベースラインを追い、

サビではベースで上行、下行をくり返ししっかりメロディーラインを作りながら、三連符を入れてリズムをより分かりやすくしています。

正にこの曲の縁の下の力持ちと言えるでしょう。

 

ちなみに、演奏しているのは高水健司さんです!

皆さんも素晴らしい演奏に拍手を!ヽ(^o^)丿

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3.テンション多用かつジャズ的なコード進行

あとやはり重要なのがコード進行ですよね。

 

これもテンションノートを多用していたり、裏コードを使っていたり、 Ⅳ♯m7(♭5) を使ったツーファイブを取り入れたりと結構凝っているんですよね。

 

また、これらは非常にジャズ的なコード進行でもあります。

 

スウィングのリズムといい、大村さんは聖子さんにジャズっぽいものを歌わせたかったのでしょうか。後の「Sweet Memories」も完全にジャズを意識した作品でしたしね。

 

言ってしまえばただのいちアイドルのいちアルバム曲で、これだけ凝っているってのはあまりないんじゃないかと。

 

それこそ松田聖子ぐらいじゃないですか?この時代のアイドルのアルバム曲でここまで拘ってる人って。

 

4.歌も素晴らしい

まず特筆すべきは聖子のリズム感の良さですよ。

 

この曲のメロディーはリズムが地味に複雑で、リズム感のない素人が歌ったらグダグダになること間違いなしです。

 

入りが三連符の頭から一つずれていたり、(この曲のメロディーは三連符の真ん中から入ることが多い。「♪ ♪」の太字の部分から歌いだす。)

 

時にはスウィングのリズムで歌ったりと、いろいろ意識しないといけないところがあります。

 

ですが、恐らく聖子はほとんど無意識かつ感覚的にそれらをこなしていると思います。

 

センスのある人はそういうものなんじゃないかと思うんですよね。逆にセンスのない人はいつまでたってもリズム取れなかったりする。

もちろん、裏で相当センスを磨く努力もしているんでしょうけどね、聖子ちゃんは努力家だと思いますし。

 

それから、声についてですね。

 

 いやはや、もう今さら言われなくても分かっているとは思いますが、

声質はやはり素晴らしく、声の伸び、強弱、どれをとっても平均点以上のものがあり、さすが松田聖子と言わざるを得ません。

 

ただ、これは個人的な好みの問題なんですけど、この曲のベストアクトは音源ではなく1984年の「Golden Juke」での歌だと思ってます。

やはりこの時よりも多くのテクニックを身につけた繊細な歌い方、低音も聴きやすく発音していて音源より安定、サビ前の「かけるのよ~」の伸びも力強い。「それでいいの」の部分が「強」すぎることを除けば音源よりも好きです。ブルーレイ化はよ。

 

でもこれはあくまで好みの問題でただの主観でしかないですからね。こういったものさしのない主観で作品のクオリティを量るのはナンセンスです。

 

5.「真冬の恋人たち」が「元祖Seiko Jazz」説

この曲を何度か聴いて思ったのは、

 

大村さんは流行りの歌謡曲というものに媚びていないな

 

ということです。少なくともこの曲に関しては。

 

多くの洋楽を聴いているであろう大村さん自身が本当に良いと思えるものを作ろうとしているものが分かります。

「これやっときゃいいんでしょ」的な妥協が少ない。

 

そりゃあアイドルポップスですし、商業作品ですからある程度の制約や譲歩はあるでしょう。

 

それでも、それらは最低限度に抑えて「松田聖子」という一人の逸材歌手を使ってよりよい音楽作品を世に送り出そうという裏方さんたちの思いが垣間見えます。

 

そして、この「真冬の恋人たち」で手ごたえを掴んで自信を得たからこそ、大村さんはあそこまで思いきって「Sweet Memories」を作曲できたのではないでしょうか。

 

少しばかり凝った曲を作っても世の中の人はちゃんとついてきて、支持してくれる。良いものは良いと言ってくれる。

 

そういう意味では、「真冬の恋人たち」は「元祖Seiko Jazz」とも言える記念すべき作品なのかもしれません。

 

また、この曲は20代の僕から見ても古さ(というより「くささ」と表現した方が適切かもしれない)をあまり感じないんですよ。

 

それはやっぱり大村さんや聖子さん達が妥協せずに流行りに左右されずに真摯に音楽に向かい合った結果でしょう。

 

……次回はコード進行を交えてより深く研究していきます!

では皆さん、次回の記事で会いましょう!(@^^)/~~~

 

 

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*1:裏拍を強調するということ。この場合、二拍目と4拍目にアクセントをつける。