松田聖子アルバム「We Are Love」研究第2回~収録曲「Kiss me please」楽曲研究~
こんにちは、研究員第一号のいっきゅうと申します!
今回はアルバム「We are love」研究第2回ということで、「Kiss me please」についての研究を進めていきたいと思います。(=゚ω゚)ノ
前回(第1回)の記事はこちらです。(-ω-)/
seiko-laboratory.hatenablog.com
早速コード進行と共に見ていきましょう!( ・∇・)
1.イントロ
曲が始まってからの8秒間はコードはあってないようなものなので省略します。人( ̄ω ̄;)
ということで、0:08から。
キー=Bから始まります。
| B|B|G F♯7sus4 | B|B|G F♯7sus4 |G♯M7 |G♯M7 C♯onD♯|Aメロに続く
注目すべきなのが上の3小節目と6小節目に出てくる「G」のコードです。
Bメジャースケールにおいて「G」は♭VI、ノンダイアトニックコードです。
この ♭VIがどういう役割を持っているかについてですが、恐らくサブ・ドミナント・マイナーの代理ではないでしょうか。
メジャーキーの曲の場合、同主短調*1でサブドミナントの役割を持つコードを借りて使うことができます。
その借りてきたコードが サブ・ドミナント・マイナー です。
♭VIはマイナーキーでサブドミナントの役割を持っていますので、サブ・ドミナント・マイナーになり得ますね。
そして、|G F♯7sus4 |G♯M7 |の部分ですが、G♯M7 のところでキー=G#に転調しています。
F♯7はV7でドミナントなので次は B が来ると思いきやG♯M7 がきて裏切られるわけです。
また、キー=G♯のとき F♯7 は ♭VII7 であり、これはサブドミナントマイナーの働きをします。
その働きを利用してトニックのG♯M7に進行して転調しているわけです。
ちなみに、サブドミナントマイナーかどうかは、コードの構成音にキーのルートから見て♭6thの音があるかで見分けられます。
キー=CのときはA♭、キー=BのときはG、キー=G♯のときはEですね。
キー=Bのときの「G」は♭6thであるGを含んでるのでサブドミナントマイナーの働きをします。
キー=G♯のときの「F♯7sus4」は♭6thであるEを含んでるのでサブドミナントマイナーの働きをします。
2.Aメロ
キー=A♭です。
| A♭M7|A♭sus4 |Cm Fm |B♭m E♭ |A♭M7|A♭sus4 |Cm Fm |B♭m E♭ | Bメロに続く
|Cm Fm |B♭m E♭ |A♭M7|の部分ではベースが強進行(完全5度下行)になっていて非常にシンプルなコード進行になっていますね。
また、|B♭m E♭ |A♭M7|ではしっかりツーファイブワンになっています。
3.Bメロ
| D♭|A♭onC |B♭m E♭ |A♭ D♭ |A♭onC Fm|E |E♭sus4 E♭ E♭sus4 E♭|サビに続く
| D♭|A♭onC |B♭m の部分では転回形を上手く使うことで、ベースがスケールにそって下降していき聴きやすくなっています。
また、D♭ |A♭onC Fm|の「A♭onC→Fm」の部分でもベースの動きが強進行になっていて、転回形が上手く生かされています。
A♭は I でトニック、Fm は VIm でトニックの代理なので似たような役割のコードが続いてるだけなのですが、ベースの動きによって若干の解決感があります。
そしてFmの次の E は ♭VI です。
Fmの構成音とほとんど変わらないのでスムーズに進んでいますね。
役割としてはやはりサブドミナントマイナーの代理でしょうか。
キー=A♭mのダイアトニックコードを借りて使っているわけですね。
この♭VI をクッションとして挟んでサビでは B から入り再びキー=Bに転調します。
このとき、
A♭ナチュラルマイナースケールとBメジャースケールは構成音が全く同じであり、
ほぼ違和感なく転調することができます。
この短3度上に転調する技はポップスでは頻出ですね!
ここで出てきた「E」はキー=Bの時の IV 、つまりサブドミナントに当たり、スムーズにトニックである B に戻って転調することができます。
4.サビ
| B|D♯m |G♯m BonF♯ B|EM7 |C♯m7 F♯|D♯ G♯ |E♯m(=Fm) B♭ |F♯sus4onD♯ F♯sus4onD F♯sus4onC♯ F♯7|B
サビにしては落ち着いた印象。
特に書くこともないのでメロディーについて。。。
こういうポップスではいかにしてキャッチーなフレーズを作って聴き手に覚えさせるか、ということが大事だと思います。
そのフレーズを印象付けるテクニックの一つがパターンの繰り返しです。
例えば、一番のサビのこの部分。
あなたに会って 初めて知った
生きてることが素敵と
コードでいうと、|C♯m7 F♯|D♯ G♯ |E♯m(=Fm) B♭ |この部分ですね。
「あなたに会って」「初めて知った」「生きてることが」の三つは音とリズムの「型」が一緒です。(音程差は同じではない。あくまで「型」が同じなだけ。)
簡単に言うと、この三つはどれも「大きく上がって小さく下がる」です。
無理やり文字で表すと「あっあ↑て↓」「しっい↑た↓」「こと↑が↓」こんな感じです。
「あなたに」「はじめて」「生きてる」では上がり下がりを繰り返しています。
そして三つともリズムも一緒です。
また、繰り返しながら徐々に音程が高くなっていき上手く盛り上がりを演出していますのが分かりますね。
このように同じ「型」のフレーズをくり返して使うことで、聴き手の記憶にも残る(かもしれない)わけですね。(´▽`)
裏で鳴っている伴奏(コード)が変わることによって、同じようなフレーズでも印象は結構変わりますから、そんなに退屈にもならないんですよね!
このように、
「型」を統一して繰り返す
というのはメロディーラインを作る上で効果的なんですね。
5.まとめ
僕がこの曲、「Kiss me please」を最初に聴いたときの感想は
_(:3」∠)_「昔の聖子ちゃんのアルバムに入ってても違和感なさそう」
でした。(笑)
それこそ「strawberry time」とかにこの曲が入っていても普通に紛れ込めるんじゃないかって思う。(;^ω^) あ、でも会話シーンでバレちゃうかな。
これ「We are love」のB面曲なんですが、シングルを買う人のために敢えて意図的に従来の松田聖子イズムを感じる曲に仕上げたんでしょうね。そんな気がします。
笹路正徳さんの編曲もアイドル聖子ちゃんを連想させるようなキラキラサウンドで装飾されていますしね。
ちなみに松田聖子イズムの話は第1回でも少し触れているので良かったら見てください!(/・ω・)/
seiko-laboratory.hatenablog.com
今回はこの辺で。
それでは皆さん、また次回の記事で会いましょう!(@^^)/~~~
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