松田聖子「今夜はソフィストケート」楽曲研究~「不安定」を演出する
こんばんは、研究員第一号のいっきゅうと申します!
皆さん、「ソフィストケート」という言葉の意味を知っていますか?
実は僕もよく知らなかったので調べてみたところ、
[名](スル)《「ソフィスティケイト」とも》趣味、考え、態度などが都会的に洗練されていること。「ソフィスティケートされたもてなし」
だそうですよ!「今夜は都会的に華麗に振る舞うわ♪今までの私とは違うのよ!」って感じでしょうか。(*'▽')
さて、前置きはここら辺にしておいて、今回は「今夜はソフィストケート」の楽曲について研究しようと思います。
前回、歌詞について考察、研究したので今回はいよいよ楽曲そのものについて言及するわけですね!
では早速始めましょう!
作詞は松本隆さん、作曲は佐野元春さん、編曲は大村雅朗さんです。
キーはA♭です。
1.イントロ
ドラムから始まり、「ジャーン」と不思議な感じのコードが鳴るのが印象的なイントロですね。(´▽`)
恐らくこのコードは
「E♭aug」
だと思われます。(augはオーギュメントと読みます)
オーギュメントとは、メジャーコードの完全5度が半音上がっただけのもの。
この場合、E♭の5thの音(つまりB♭)が半音上がってBになっているだけです。
ここでのオーギュメントの役割を考えると、次にA♭に進むことから、ドミナントの代理ではないかなと考えます。
普通は「E♭」を使うところをあえて「E♭aug」を用いて初っ端からインパクトを残しているわけです。
そして、ドミナントからAメロに入ってトニックのA♭に解決しているので、歌が始まると同時に解決感及び安心感が押し寄せてくるわけですね。( ^^) _旦~~
また、「E♭aug」の構成音は「E♭,G,B」であり、A♭の構成音は「A♭,C,E♭」であるので、「G→A♭」「B→C」がそれぞれ半音進行、E♭はそのままとスムーズな動きができています。
2.Aメロ
| A♭ | Fm |B♭m B♭mM7 |B♭m7 B♭m6 | E♭ | E♭ | B♭m Cm | D♭ E♭ | A♭ | Fm |B♭m B♭mM7 |B♭m7 B♭m6 | E♭ | E♭ | B♭m E♭ A♭ |
2.1ラインクリシェ
「懐かしいベル」の部分の|B♭m B♭mM7 |B♭m7 B♭m6 |ではラインクリシェというテクニックが使われています。
簡単に言うと、「コードの構成音の中のどれかの音を半音ずつもしくは全音ずつ動かしていく」というものです。
同じようなコードが続いて退屈になりがちな時、味付けとしてよく使用されます。
聖子ちゃんの曲でも「渚のバルコニー」「レモネードの夏」「瞳はダイアモンド」「Kimono Beat」などで使われてますね!
この場合では、「B♭→A→A♭→G」というようにコードの構成音が半音ずつ下がっています。
2.2ツー・ファイブ・ワン
Aメロの最後の| B♭m E♭ A♭ | では
ツー・ファイブ・ワン
という頻出のコード進行が出てきています。
| B♭m E♭ A♭ |を| IIm V I |と置き換えると分かりやすいと思います。
厳密にいうとツー・ファイブ・ワンは「IIm7→ V7→ IM7」のことだと思いますが、この曲のこれもツー・ファイブ・ワンと言ってしまっても別に問題ないでしょう!
IImはサブドミナントの代理、Vはドミナント、Iはトニックの役割を持っていますね。
なぜ、このツー・ファイブ・ワンがよく使われているのかというと、
ルート音の動きが完全4度上行(もしくは完全5度下行)になっているからです。
これを強進行といい、トニックへ解決する流れがより強くなります。
3.Bメロ(サビ)
|D♭ E♭|E♭ |A♭ Cm7(♭5)onG♭ F7|F7 |B♭m | E♭7 | A♭ | A♭7 |B♭m7, E♭|E♭ |A♭ Cm7(♭5)onG♭ F7|F7 | B♭m | E♭7 | A♭ |E♭aug | 再びAメロに続く
3.1セカンダリードミナント
このBメロでいうと、「F7」と「A♭7」がセカンダリードミナントとして使われています。
I(トニック)以外のダイアトニックコードを仮のI(トニック)とみなして、その仮のI(トニック)に進行するV7を仮のI(トニック)の前に挟むことができます。
一時的に転調しているものだと考えることもできます。ノンダイアトニックコードゆえに緊張感があり、少し不安定な響きがします。
まあ、「百聞は一見に如かず」ということで、実際にこのBメロでの|F7 |B♭m|を見ながら解釈していきましょう。
この場合、B♭mを仮のI(トニック)とみなし、その仮のI(トニック)に対してのV7(ドミナント)としてF7を置いています。
この「F7」が鳴っている時、一時的にキー=B♭に転調していると考えることもできるのです。
また、| A♭7 |B♭m7, E♭|の部分もA♭7も同じようにセカンダリードミナントです。(ちょうど「ワーイーン」のところですね)
この場合は、D♭を仮のI(トニック)とみなし、その仮のI(トニック)に対してのV7(ドミナント)としてA♭7を置いています。
この「A♭7」が鳴っている時、一時的にキー=D♭に転調していると考えることもできるのです。
いや、でもD♭じゃなくてB♭m7になってるじゃないか!!(; ・`д・´)
と思った方もいるかもしれませんが、B♭m7の構成音にはしっかりとD♭が入っているので問題ありません。仮のI(トニック)のD♭の代理コードとしてB♭m7を使っていると考えてもいいでしょう。(D♭をIとしたときB♭mはVImとなり、トニックの代理として使えます)
このように所々にセカンダリードミナントを挟むことによって、サビが不安定と安定の連続になり、聴く人を飽きさせないようにしているんですね!
それと、主人公の心情の不安定さを曲の雰囲気でも表しているのかもしれません。(@_@)
涙をこぼさないように踊っているわけですからね。。。
3.2「IIm7(♭5)→V7→Im」の解釈
この曲の|A♭ Cm7(♭5)onG♭ F7|F7 |B♭m |の「Cm7(♭5)on→F7→B♭m 」の部分の解釈について。
歌的には「困らせてあげる」や「取り上げないで」の後ですね。
結論から言うと、ここではB♭mを仮のIとみなし、Cm7(♭5)on→F7(IIm7(♭5)→V7)はツーファイブの動きをしています。
セカンダリードミナントのV7の前に、仮のIに対するIIm7のコードを入れて、
仮のIから見て「IIm7→V7→Im」というツー・ファイブ・ワンの動きを作ることができます。
ちなみに、このときのIIm7をリレイテッド・ツー・マイナー7(Related IIm7)と呼びます。
また、この場合ではキーは一時的に(IIm7→V7のとき)B♭mとなり、使用スケールはHmP5↓(ハーモニック・マイナー・パーフェクト5th・ビロウ)で、スケール上のダイアトニック・コードを使って「IIm7(♭5)→V7」となっています。
つまり瞬間的にマイナー調に変わっているので、この部分は少し胸がきゅんと締め付けられるというか、切ない感じになるんですよね。
聖子もちゃんとこのような曲の特徴を理解して、「取り上げないで」のときは本当に胸が締め付けられているかのように、少し苦しいような、切ないような歌い方をしているんですよね。
で、その歌い方なんだけど
絶妙なんだよね!!これが!!
ここら辺の歌での繊細な表現においては、聖子の右に出る者はいないんじゃないかってぐらい上手い。(さすがに言いすぎかな?でも割と僕は本気でそう思ってる)
しかも自分勝手な解釈で表現してるわけじゃなくて、ちゃんと歌詞と曲に合わせて歌の感情を表現してますからね。
聖子に歌わせる裏方たちもさぞかし楽しいでしょうよ、うん。(。-`ω-)
4.Cメロ
| A♭m onB E♭sus4 onB♭ |A♭M7 AM7 A♭M7 | B♭m |A♭ | B♭m | A♭ | Cm7 | Cm(11,13) onF | B♭m | E♭7(9) |E♭ | 再びAメロに続く
うーん、特筆すべき点が特に見当たらないので困ってます。
しいて言えば「B♭m→E♭7(9)」がツーファイブであること。
それから、| Cm7 | Cm(11,13) onF | B♭m |の部分のベースが強進行になっていてスムーズに進んでいますね。
このように分数コードを使ってベースの動きを明快にするのは上手いですね(多分大村さんがやったんじゃないかなと思いますが)
「A♭M7→AM7→A♭M7」は理論どうこうというより、ただ単に平行移動して聴いてかっこいい感じにしただけな気がする(笑)。
要は極論、聴いてみていい感じならばそれでいいわけで。(-.-)
5.まとめ
「今夜はソフィストケート」についてはこんなところでしょうか。
今回はあまり触れませんでしたが所々でブルーノートを刺繍音や経過音で使ったりしていたのも印象的でした。
また、キーアイテムであるワイングラスを強調するためか、「ワーイーン」の部分がこの曲のメロディーで最も高い箇所で、そういう所も含め歌詞と曲が上手く連動しているなと思います。
そしてこの一番盛り上がるはずの「ワーイーン」の部分も I7 を使うことでブルージーな響きを持つというか、どこか影がある雰囲気になっています。
この曲自体、終始どこか影があるような、そんな雰囲気を醸し出しています。
歌詞研究でも言いましたが、結構切ない歌詞なので(前作のハートのイアリングも相まって)雰囲気はとても合っていますね。
seiko-laboratory.hatenablog.com
ソフィストケートという言葉通り、歌詞、曲ともに都会的で洒落ていて僕はまあ嫌いじゃないです。
是非今回の記事を踏まえて、皆さんも「今夜はソフィストケート」を聴きなおしてください。(*´▽`*)
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このブログでは「松田聖子の楽曲を研究することが目的」なので音楽理論の基礎の説明については基本的には簡単にしかしませんので、もし理論で分からないところがあったら専門書を買って読むか、他のブログを読むなりするのがいいと思います。
単に音楽理論について学ぶならば、ものすごくわかりやすく丁寧に解説しているサイトが多数あります。(/・ω・)/
それでは皆さん、次回の記事で会いましょう!(@^^)/~~~
松本隆作品から学ぶ作詞の極意!~「今夜はソフィストケート」歌詞研究・後編
- 1.「ワイングラス」は彼女の内面を表している
- 2.「ハートのイアリング」の彼は「今夜はソフィストケート」の彼なのか?
- 3.「小道具」の役割とは?
- 4.全体像について
- 5.作詞の極意、テクニックのまとめ
こんにちは、研究員第一号のいっきゅうと申します!
今回は前回の記事の続き、後編ですね!(*´・ω・`)b
前回の記事はこちら↓
seiko-laboratory.hatenablog.com
楽曲研究の方はこちら
seiko-laboratory.hatenablog.com
前回、「小道具」の話が中途半端なところで終わって消化不良だったので、今回は「小道具」の話を軸にしていこうかなと思います。
1.「ワイングラス」は彼女の内面を表している
とりあえず、結論から言ってしまいます。
劇中に登場する「ワイングラス」は主人公の彼女そのもののメタファー(隠喩)です。
この曲では主人公の心情を直接描写せずに、「ワイングラス」というアイテムを使って彼女の内面を繊細に表現しています。
どういうことか、後で細かく説明していきますね!( ・∇・)
2.「ハートのイアリング」の彼は「今夜はソフィストケート」の彼なのか?
「ハートのイアリング」と「今夜はソフィストケート」はとても似ていると思いませんか?
まず、作詞作曲編曲歌手全て一致していますよね。(しかも佐野元春さんが聖子に提供した曲はこの2曲だけ)
楽曲のアレンジの方向性も同じですし、2つの歌詞を見比べているといくつかの類時点を見つけることができます。
2.1主人公(女性)の性格
まず、この二曲の主人公は性格が似ています。
STAY WITH ME 気にしてるの? ハートのイアリング
他の誰かにもらったの 嘘のつぶやき
これはハートのイアリングの1番Aメロ部分の歌詞です。
自分の気持ちに素直じゃない、つい彼を困らせてしまう彼女がよく表現されています。
そういえば、今夜はソフィストケートでも主人公は裸足で踊って男を困らせていましたよね。
2.2軽い男の描写
この二曲に出てくる男は、両者ともかる~い男だと描写されている。
例えば、「ハートのイアリング」での彼は主人公に対して基本冷めた態度をとっています。
男は妬きもしないし、勝手に違う女の子とロードショーに行ってしまうわけです。
それでも彼女は
あの娘は友達と 笑いとばしてみて
すぐに明るく許してあげるわ
と言っているので、彼のことが本当に大好きだということが分かるのですが、
サヨナラと今言ったの?
遠すぎて聞きとれないわ
……とまあ、彼に振られてしまうわけですねえ。
そういえば、「今夜はソフィストケート」で彼女は
昔軽く振られたお返しに
なんてことを言っていましたね……。
では、「今夜はソフィストケート」の男はどうでしょうか。
知らず知らずに聞き出したあなたの話
新しい恋人に少し飽きたみたいね
同じことの繰り返し 戻って来ても
つぶらな眼の娘を 追うまの 乗り継ぎの駅
はい、完全にかる~い男です本当にありがとうございました。m(__)m
こうしてみると、「ハートのイアリング」の男と同一人物説は結構濃厚な線なんじゃないかと思いますよね。
男から降ったのにも関わらず、新しい恋人に飽きてまた昔の女(=主人公)に「食事でも」と誘ってきた、ということですかね。
しかし彼女は、男が心から自分を好きなわけではなく、「ただのつなぎの女扱い」だということを分かっているんです。
切ないっ!!!(ノД`)・゜・。
2.3やはりつながっている
確たる証拠があるわけではありませんが、僕は「今夜はソフィストケート」は「ハートのイアリング」の少し未来の話だと思います。そう考えると全て辻褄が合うのです。
もちろん、この結論に至る根拠はこれだけではないんですよ。
これから先の話は今回の記事で一番重要というか、根幹を成すところなので是非見てください!必見ですよ!
3.「小道具」の役割とは?
そういえば、冒頭で「小道具」の話を軸にする、なんてことを僕は言いましたね。
「ハートのイアリング」。。。何か気づきませんか?
そう!!
歌詞に登場するキーアイテムが、そのまま曲のタイトルになっているのです!!
そしてこの曲でのハートのイアリングは、「主人公が彼に対して抱いてる想い」のメタファーです。
おやおや、記事の冒頭とつながってきましたね!(*´▽`*)
3.1彼女は一度彼と「決別」している
イアリングが「主人公が彼に対して抱いてる想い」のメタファーであるというのはどういうことか。
彼女は、彼にもっと構ってほしくて、振り向いてほしくてイアリングをつけました。
そこには間違いなく、彼を愛する気持ちがあり、彼女は
彼が振り向いてくれるまでずっとイアリングを付けたままでした。
ところが彼が振り向いてくれることはなく、他の女の子に現を抜かされ挙句の果てには「サヨナラ」と言われてしまうわけですね。
そして、
背中を見送ってそっと外したイアリング
道に捨てれば雪がかくすでしょう
春になる頃あなたを忘れる
となるわけです。
もうお分かりですね?
イアリングを外して捨てた行為は、彼との決別を表しているのです。
もちろん、「今夜はソフィストケート」でも彼女は彼と復縁することはありません。
もしもそんなことをしたら折角の「ハートのイアリング」でのラストシーンが台無しです!
……ところでですよ、皆さんはこのラストの歌詞を見て何か気づきませんか?
……気づかないという方のために、分かりやすく「ハートのイアリング」のラストと「今夜はソフィストケート」の最初の部分を並べて引用してみます。
背中を見送ってそっと外したイアリング
道に捨てれば雪がかくすでしょう
春になる頃あなたを忘れる
忘れた頃に鳴り出した なつかしいベル
食事でもしないかって 低い声が流れる
……前回の記事で僕はこう言いました。
「エナメルの靴」「裸足」という同類項(どちらも足に関連するもの)の言葉をつなげる(Aメロの終わり、Bメロの始まりに配置)ことで、聴き手は違和感なくすんなりと情景を思い浮かべることができます。
……もうお気づきですね?(。-`ω-)
そうです!
「ハートのイアリング」の最後の「忘れる」と、「今夜はソフィストケート」の最初の「忘れた」を連結させているのです!
同類項どころかまんま同じ言葉です!
これに初めて気づいた時はもう鳥肌が立ちましたね。(; ・`д・´)
ここまでくるともう作詞家(つまり松本隆さん)が意図的にやっているとしか思えません。
3.2「今夜はソフィストケート」における「小道具」の役割
さあ、ここからが一番の本題ですね!
念のためもう一度言いますが、劇中に登場する「ワイングラス」は主人公の彼女そのもののメタファー(隠喩)です。
例えば、
ワイングラス とりあげないで
とあります。
これは、彼女をまた自分のものにしてしまおう(取り上げよう)という男に対する拒否の気持ちを表しています。
それから、サビのこちらのフレーズ。
ワイングラス片手に持って
そうよ こぼさないように踊るの
ここまで読んだ賢い皆さんならもう言われなくても分かりますよね!(*´▽`*)
ワイングラスを使って彼女の心情を表現していることがよく分かると思います。
また、
想い通りにならないと まるでだだっ子
不機嫌な声をして 空のボトル振ってる
という歌詞が途中ありますが、「空のボトル」は男の内面のメタファーであり、
「気障に気取ってるけど、男の中身は空っぽである」ことを暗に示しているんですね。
3.3なぜ「小道具」を使うのか
「小道具」を使って人物の心情を描写することで、直接的な描写を極力避けることができます。
そうすることでより詩的な空気を作り出すことができます。
それから、印象的なワードを何度も入れることで、曲が耳に残りやすくなるということもあるでしょう。
たとえば、言わずと知れた超名曲である「赤いスイートピー」。
冷静に考えれば「赤いスイートピー」ってなんだよって思うかも知れませんが、それでも「赤いスイートピー」というワードがとても印象的なので一発で覚えますし耳に残りますよね!つまりそういうことです。
そしてもう一つは前回の記事にも書いたことですが、
一つの言葉、単語に(物語上において)複数の意味を持たせる
という教えを実行しやすいのが「小道具」だからという理由です。
詳しくは前回の記事でどうぞ(*´▽`*)
seiko-laboratory.hatenablog.com
4.全体像について
「ハートのイアリング」では、終始彼女は男に振り回されていて、言ってしまえば弱い女でしたが、
「今夜はソフィストケート」では逆に男が彼女のペースにまんまと振り回され、文字通り「不機嫌」になっています。
主人公が成長して、「あの頃より少し強くなった」のですね!
また、こうしてみると、この2曲が対比構造にもなっているのが分かりますね。
5.作詞の極意、テクニックのまとめ
なんやかんやでまた4000文字を超えてしまいました。( ;∀;)
今までの研究結果をかんたーーんにまとめてみると、
- 導入からインパクトを残す
- 具体的な言葉を使う(あやふやを避ける、リアリティが増す、強調等の効果)
- 「省略」を大胆に使う
- 「つなぎ方」を考える
- 一つのワードに複数の意味、役割を持たせる
- 「小道具」を上手く使って人物の心情描写などを行う
もちろん、ここで研究したこと以外にも歌詞を書く上で重要なこと、テクニック等はまっだまだあります。
研究員の僕としても、より歌詞の世界を知るためにもっと精進しなければなりませんね。
また、釘をさすようですが、曲がよくないと折角の歌詞も生きない、ということをお忘れなく。
そして、やはり大事なのは曲の世界の表現者である歌い手です。
どんなに曲が良くてどんなに歌詞が良くても、歌手が凡ならばそれは伝わらないでしょう。
しかし、この曲(この曲だけに限りませんが)は聖子さんの素晴らしい歌唱によって命を吹き込まれています。
このような優れた表現者(歌手)がいて初めてこうした良曲が外の世界に出ていくと考えると、聖子ちゃんには頭を向けて眠れませんね。(*'▽')
それでは皆さん、次回の記事で会いましょう!バイバーイ!(@^^)/~~~</p
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松本隆作品から学ぶ作詞の極意!~「今夜はソフィストケート」歌詞研究・前編
1.歌詞はいいに越したことはない!
こんにちは、研究員第一号のいっきゅうと申します!
今回は実際の聖子ちゃんの曲を基に、歌詞を分析していこうと思います。
そこで一つ質問があります。
皆さん、曲を聴くときに歌詞って意識して聴いてますか?
実を言うと、僕は殆ど歌詞聴いてなかったんですよ。
やっぱり基本的には楽曲重視ですし、そういう人が多いんじゃないかなって思います。
例えば、「歌詞がダメダメ、曲は良い」は普通に気持ちよく聴けると思うのですが、
「曲がダメダメ、歌詞は良い」ではやっぱり聴く気にならないですよ。
せっかく歌詞が良くてもそれは死んでるようなもんですから。
だからぶっちゃけ、歌詞なんて響きさえ良ければ何でもいいしどうでもいいじゃんって思ってたりもします。
しかしですね!!!
歌詞が良いに越したことはない!!!
これぞ宇宙の真理!!!
これに反論できる人ってまずいないと思うんです。悪いよりは良い方がええに決まってるやん?みたいな。( ゚Д゚)
それでですね、お分かりの通り良い歌詞というのは、曲が優れていること前提で生まれるものなんですが(曲が駄目だとそもそも評価すらまともにされない)その点聖子ちゃん、特に80年代の松田聖子は安心ですね。
だってどの曲も高水準で基準値は優に満たしてるもん!( ・ω・)
2.「今夜はソフィストケート」歌詞研究~まるで一本の映画のように
今回題材とするのは、「今夜はソフィストケート」という曲で、「Windy Shadow」というアルバムに収録されています。
この曲の歌詞はなかなか面白いなあと思っているんですよ。
いや何がって、一口では言い表せませんが、歌詞に出てくる単語一つ一つがきちんと意味を成して、それぞれが上手く連動してるんですよね。
とにかく、「今夜はソフィストケート」研究していきましょう!
作詞はもちろん松本隆さん、作曲は佐野元春さん、編曲は大村雅朗さんです。
2.1Aメロ
歌詞には様々な書き方がありますが、この曲ではとある一人の女性目線、一人称で書いています。松本さんはこのパターン多いですよね。
それでまず舞台設定についてですが、優れた歌詞にはきちんと「いつ、どこで、誰が(何が)、どうした(起こった)」が示されており、人物の動機や感情の動き、人間関係も描写されています。(ただ、要素によっては物語に必要ないと判断された場合、カットされたり明かされないこともあります)
それらがしっかりしていると、私たちは曲を聴いたときにまるで良質な映画を観終えたかのような錯覚に陥るんですね。
では、まずは一番のAメロを引用して見ていきましょう。
忘れた頃に鳴り出した懐かしいベル
食事でもしないかって 低い声が流れる
黒いドレス 精一杯 着飾ったのに
表は雨 だいなしだわ エナメルの靴
2.1.1始まりのインパクト
この歌詞を見ると、大変多くの情報が含まれていますね。
何気に上手いなあって思うのは、「知り合いの男からの電話でベルが鳴る」という、物語が動くきっかけとなる「事件」をど頭に持ってきたこと。
これは映画ではやはりよくある手法で、普通開始10分から15分辺りに起こる事件(物語が動きだし日常から非日常へと移行するトリガー)を、あえて最初に持ってくることで観客の熱量を一気に引き上げ興味を持たせるというものです。
もしもこの物語の歌詞を下手な人が書いたら、ベルが鳴るイベントの前に、「一人で静かに紅茶でも飲んでいる的」なしょうもないいらねえ描写をして歌詞の無駄遣いをしてしまうかも。
曲の初っぱなからいきなり気になるイベントを起こすことで、歌の世界に引き込まれますよね。
(そういえば、楽曲の構成でも、青い珊瑚礁や風立ちぬのようにサビをど頭に持ってくることでインパクトを残すものも多いですよね)
さらに、登場人物、つまり主人公の女ともう一人の男はこの時点で存在を明かされるので無駄なくスピーディーな展開になっています。
2.1.2具体的な言葉
そして、具体的な言葉にも注目です。
低い声、精一杯着飾った、表は雨、エナメルの靴、といった太字のような具体的な言葉を入れることでより細かい情景や感情が浮き彫りとなり、説得力が増します。
例えば、「精一杯」を入れることで主人公の女性は電話をしてきた男に気があることが直感的に分かりますよね。
女性は興味のない男性と会うのに「精一杯」着飾ったりはしないでしょう。
でもこれが単に「着飾ったのに」としか書かれてなかったら?
うーん、興味ない男性の前でも身だしなみとして着飾るのは当然だしなあ(-""-;)、なんて観客に要らぬ解釈をさせてしまいます。
「精一杯」とあることで主人公が男に気があることを強調しています。
こういったあやふやを回避する役割も持っているんですね~具体的な言葉には。
また、エナメルの靴といった具体的な小道具を上手く使うことで物語はよりリアリティが増し面白くなります。
……ところで、「黒いドレス~」の部分からはもう電話してきた男と対面しているのでしょうか。僕は恐らくその線が濃厚かなと思います。
「表は雨」とあるので、室内にいるとは思うんですが。多分、家から店までの間に靴が雨に濡れてしまって、「エナメルの靴が台無しだわ」と男に向かって言っている状況?
いや違うかな、まだ男とは会ってなくて、会う前に「台無しだわ どうしよう」と主人公が困っている状況?
なんとなく前者かなあって思いますが確信は持てません。まあ正直この場合どちらでもいいと言えばそうなんですが(笑)。とりあえず今回は前者の解釈と仮定して話を進めていきます。
2.1.3「省略」を使いこなす
Aメロの「声が流れる」から「黒いドレス」に至るまでの省略が上手い。
何がって、大胆にカットするのがですよ。
「声が流れる」の後、どうしようと悩んだり、約束のお店まで行く間の描写だとか、雨の中一人でドキドキしながら歩く場面とか、そういう過程を全部省略して踊る場面に切り替わるわけですからね。結構省略してますよね。
でも省略しても問題ないんです。
前後の出来事を書いちゃえば、その間の過程は観客が各々勝手に想像で補ってくれますから。(-ω-)/
4コマ漫画とか手塚漫画や藤子F不二雄漫画などを意識して読んでいると、かなりの量の「省略」が使われているのが分かりますがちゃんと理解して読めますもんね。
歌詞の世界に、あえて余白を残していくのです。
このように物語に必要ない場面は思いきってカットしていく、そしてそれをどこまでしていいかの判断能力、作詞するときには非常に必要な能力なのでしょう。うーん、難しい(; ・`д・´)
どうですか?この短いAメロの間にも情景描写を巧みに交えながらも舞台設定をほぼ終えています。
それでもっとすごいのが、ここで出てきた設定や小道具がこの後にもちゃんと生きてくるところですよ!
2.2Bメロ
では続き、一番のBメロを引用します。
裸足で踊って 困らせてあげる
人の視線 気にする人だから
ワイン・グラス とりあげないで
別に酔っているわけじゃないのよ
2.2.1AメロとBメロのつなぎ
ここではまず、AメロとBメロのつなぎ方が上手いと思います。
「エナメルの靴」「裸足」という同類項(どちらも足に関連するもの)の言葉をつなげる(Aメロの終わり、Bメロの始まりに配置)ことで、聴き手は違和感なくすんなりと情景を思い浮かべることができます。
さらに、Aメロで起こった「雨で靴がだいなしになる」という出来事が「原因」となり、
Bメロで「裸足で踊る」という「結果」につながっています。
ここできっちりと因果関係が成り立っていて、「原因系」から「因果系」への流れが出来ています。
そしてさらに「裸足で踊る」がまた「原因」となり、人の視線が気になる男が「困る」という「結果」が生じるわけです。
そしてさらにry)・・・
ということで、
因果関係を意識することも、上手く「つなげる」ためには重要
だということが分かります。
Aメロのストーリーが布石となってきちんと後の歌詞に響いてくるのが素晴らしいですね。
2.2.2情景描写と人物描写を同時に行う荒業
Bメロの2行目の
人の視線 気にする人だから
これの何がすごいって、
情景描写と人物描写を一気にやっている点です!
この短いフレーズから分かる情報は以下の通りでしょうか。
- 電話主の男が「人の視線」を気にするタイプの男だと言うこと。
- 主人公の女は、彼の特徴を今でもよく覚えていること。→彼女は心底彼のことを好きだったこと。
- 彼らの周りに何人か、もしくは何十人かはいること。
男女二人の人物説明はもちろん、彼らの周りにも同じように食事をしている人が複数いて、恐らくその人たちの視線がちらちらと二人の方を向いている、といったような景色が想像できます。
なるほど、なるべく短い文章でより多くの情報を伝えなければならない歌詞において、
一つの文、フレーズに複数の意味を持たせる
ことは意識した方がいいのかもしれません。
そしてそれを突き詰めると、
一つの言葉、単語に(物語上において)複数の意味を持たせる
ことになります。
この考えは、松本隆作品における「小道具を上手く使ったテクニック」の基本にもなっているんではないかと僕は考えています。
この曲でも「ワイングラス」が歌詞全体を通して出てきていますが、この曲を象徴する印象的な小道具であり、終始これがとてもいい働きをしています。
松本隆さんの歌詞には小道具を上手く生かしたものが多くて、そういう曲も後々順を追って紹介できたらなと思っています。
3.後半へ続く
小道具についてなど、詳しく書きたいのですがここでなんと4500文字を超えてしまったので、続きは後編で書くことにします。
それでは皆さん、後編で会いましょう!バイバーイ(@^^)/~~~
追記 後編の記事はこちら
seiko-laboratory.hatenablog.com
楽曲研究はこちら
seiko-laboratory.hatenablog.com
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Seiko Jazz2コンサートツアー情報が公開されたと聞いて
1.はじめに
こんにちは、研究員第一号のいっきゅうと申します!
今日、振り向けば聖子のスペシャルの再放送がありましたがご覧になりましたか?
僕はというと……観られなかったんですよねー(´;ω;`)(そもそも契約してないので観られない)
今回放送した再放送もスペシャル版ということで、レギュラー放送の時に歌っていたものなど多数カットされているらしいので、是非完全版をブルーレイで発売して欲しいですよね。
てか、してくれ!!!
2."Seiko Jazz2" コンサートツアー情報公開!!!
まあそれでもうれしいニュースだったのが、9月21日に公開されたSeiko Jazzのコンサートツアー情報!
まず、ツアーを来年も確実にやってくれるという事実にほっとしました。(´▽`)
今年の名古屋でのライブファイナルの時にも、「もうすぐ聖子ジャズ2についての情報を皆さんに届けられると思います」と言っていたので、まあ大体予想はついていたんですけど。
ライブ会場や日程などの詳しい情報は松田聖子オフィシャルサイトに載っているので是非そこでご確認ください。
今年2月に名古屋でやった聖子ジャズライブには僕行ったんですけど、来年は名古屋の会場変わっているんですね~。思ってたより聖子ちゃんとの距離が近くて感動してた思い出があります。
前回は愛知県芸術劇場でやったんですよ。調べてみたら、愛知県芸術劇場の大ホールは現在改修工事のため使えないとのこと!
それじゃしょうがないね、うん。( ;∀;)
これが僕が聖子ジャズのライブに行ったときのチケットです!
来年の名古屋での会場は「日本特殊陶業市民会館 フォレストホール」というところみたいです。
フォレストホール|愛知県名古屋市のイベントホール[日本特殊陶業市民会館]
写真見た限り、愛知県芸術劇場と似たような感じですね。
どうせなら一階席で観たいよな~。_(:3」∠)_
3階とか4階はほんとに遠そう。
3.皆さんも「Seiko Jazz2」のライブ行こうぜ!
僕は今年の2月9日に行ったSeiko jazzのライブが初めての聖子ちゃんコンサートだったんですよ。今でもよーく覚えていますよあの時のことは。
一人、ドキドキしながらチケットを握りしめ、電車に揺られながらももう少しで会えるという聖子ちゃんに思いをはせていたのを思い出します。
ライブが始まって聖子ちゃんが出てきたときの感情はもう本当に一言では言い表せないです。
今まであれだけ曲だったり映像だったりを見まくってた憧れのその人が目の前に生身の人間として立っているわけですからね。
「聖子おおおおお!!!!!(ノД`)・゜・。」
と叫びたい気持ちを飲み込んで、感動に胸を震わせていました。
で、また聖子の歌が良いんですよ、これが!
実を言うと、ライブに行く前は少し不安な部分もあったんですよ。
「もしも、生で観て大したことがなかったらどうしよう」
と心の中で考えていた自分がいたんです。それにより自分の中での聖子熱が冷めてしまう可能性を恐れていたんですね。
ですが、
そんなのは杞憂だった!!!
本当に想像以上でした。生で聴く聖子の声の伸びは身体の隅々まで響きわたって鳥肌が立ったし、明らかにCDの歌唱を優に超えているものばかりだった。ライブ前の俺のバカヤロー!!!!
演奏もかなり素晴らしいのですが、その演奏にも聖子の歌が力負けしていないのが本当にすごい。
僕の中で一番素晴らしかったのが、「Don`t know why」で、この歌を聴いて思わず涙がこぼれてしまったんですよね。
感情に訴えかけてくる歌ってこういうことか!って思いましたね。
ライブが終わった後、完全に聖子に心を奪われて放心状態のなか夜道を歩きながら、一生松田聖子を応援しようと決心した記憶があります。
何より、20歳のぼくでも聖子の歌をリアルタイムで生で聴けるんだ、ということが嬉しかった。
松田聖子は40代や50代だけのものじゃない!10代、20代、30代だって現役で楽しめるんだ!って。
だから、現役で今でも歌ってくれる聖子ちゃんにはもう本当に感謝しかありません。
ありがとう!聖子!
このライブは一生忘れないと思います。僕の人生の宝物の一つになりました。
またあのような素晴らしい歌が聴けると思うと、今から次の聖子ジャズ2ライブが待ち遠しいです。
皆さんも、「Seiko Jazz2」のコンサート行きましょう!!!!!
後悔はしないと思います!
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松田聖子アルバム「We Are Love」研究第1回~当時の背景&収録曲「Listen!!」について~
1.「We Are Love」発売時の聖子
こんにちは、研究員第一号のいっきゅうと申します!
今回は1990年発売の「we are love」を取り扱おうと思います。
アルバムの内容に入る前に、1990年頃の聖子について整理しておきましょう。
1.1「precious moment」
1989年6月30日にサンミュージックとの契約を満了した聖子は「ファンティック」という個人事務所を立ち上げついに独立することになります。
この時にいわゆる「80年代聖子プロジェクト」はほぼ終了したと言っていいでしょう。(。-`ω-)*1
そして同年12月6日、オリジナルアルバム「precious moment」をリリース。
これが80年代最後のアルバムとなるわけですね。
なんとここまでの10年間で16枚ものオリジナルアルバムを発売!
いや~本当すごいですね、これほどの短期間に多くの作品を残せるのは、基本自分では作詞作曲しないことの大きなメリットの一つだと強く思います。
また、このアルバムでは聖子が全作詞を担当。「Precious heart」一曲を除いて大村雅朗氏が編曲しています。
大村さんが製作に深く関わってくれるのは聖子にとっては、ひじょ~~~~~に!心強かったんじゃないかな……!そんな気がします。
聖子は大村さんに音楽家として絶大な信頼を寄せていたはずです。また、大村さんも聖子のボーカルに心底惚れていたに違いないです。
……と、こういうことを語り始めるとめちゃくちゃ長くなってしまうのでこの話はまた今度ということで……。
このアルバムは大村さんが関わった最後の聖子作品でもありました。(櫻の園を除く)
1.2「seiko」
そして1990年6月7日に「seiko」というアルバムをSeiko名義でリリース。
- アーティスト: Seiko,MICHAEL BOLTON
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
- 発売日: 1990/06/07
- メディア: CD
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このアルバムは評判があまり良くなかったのですが、後のアメリカでの仕事や、それこそ今正にやっているSeiko JAZZの仕事に繋がったと考えれば大いに意味のある挑戦だったと思います。
失敗を恐れていては新しい挑戦などできません。
1.3「we are love」
そして、同年12月10日に「we are love」を発売。
seiko-laboratory.hatenablog.com
前回の記事の通り、ロックに精通する笹路さんが「聖子ちゃんが歌うロック、ポップス」を適度なバランスで上手く表現していると思います。
他の笹路正徳作品に比べると大人しめのアレンジに聴こえます。
楽器が主張し過ぎて歌を邪魔しないように、あくまで主役は聖子の歌声だということを笹路さんはよく分かっていたのだと思います。
逆にいえば、ロックな曲(listen、drive me to the sky)だとギターが大人しくて物足りないと感じたりもしますが、これはこれで「聖子ちゃんロック」として成立してるので僕は好きですね。d( ̄  ̄)
松田聖子が今までの自分のイメージを自分で壊し、新たなる一歩を踏み出し始めたアルバムです。
ちょうどこの頃はバンドブームでアイドル冬の時代の幕開けでしたし、80年代のアイドル聖子路線だけではマンネリも否めませんし、方向性としては悪くないんじゃないかなと思います。
とはいえ、まだいわゆる「松田聖子イズム」な曲は残っている印象(kiss me please、本気にS・O・R・R・Y、浮気なMy Boyなど)。
「Kiss me please」楽曲研究はこちら↓
seiko-laboratory.hatenablog.com
「本気にS・O・R・R・Y」楽曲研究はこちら↓
seiko-laboratory.hatenablog.com
聖子ちゃんもこの辺りのバランスは気にしてたんじゃないでしょうか。聖子は賢い人だと思いますし、根っからのプロデューサー気質な人ですから。
とはいえ、松田聖子が完璧にプロデュースを始めたのは1992年のアルバムからなので、まだ「we are love」では聖子一人で操縦桿を握っていたわけではないでしょうが……。
後の1994年かなんかの「Video Bible」でも、似たようなことを言っていました。
その部分を少し引用してみます。
私を15年間支持してくださって応援してくださってる、要するにファンの皆さんが、好きな私の部分っていうか、なんかこれぞ松田聖子ポップスみたいな?なんかああいうものを好きっていうところも大事にしていきたい、と思うのね?なんか、例えば自分がすごいハードなダンスダンスをやりたいからって、皆の思いを無視して、それでいいかっていうと、そうじゃないって思うし、やっぱり皆が好きでいてくれる部分は残していきながら、でも同じところに留まってちゃいけないっていうか、もっとそれよりは新しいものをも、求めていかなければいけないっていうそのバランスが、毎回アルバムを作るときに、音楽を作るときに、一番大きなテーマになってくるというか。
この精神は、「seiko jazz」をやっている今でも生きているんじゃないかな、と思います。(。-`ω-)
次回作の「1992 nouvelle vague」からはダンスミュージックが多く歌われるようになりますが、今作ではそういった曲はないですね。(強いて言えばレモンティーとチョコレートパフェ?)
2.「Listen!!」(コード進行)
今回は「Listen!!」について少し掘り下げようと思います。
作詞 Seiko Matsuda 作曲 Achilles 編曲 笹路正徳
8ビートのロック風な佳曲。
アルバム一曲目に相応しく「カモン、ベイビー!」という聖子の呟きの後、ドライブ感のあるギターのリフで軽快に始まるのが好きです。
簡単にコード進行をとってみたので書いていきます。(間違ってたら教えてください>_<)
聖子が「カモン、ベイビー!」と言った後からです。
| D | D | D | D |D | D | E | F#m |D | D |E | F#m | DM7 | DM7 | G(9.11) | G(9.11) |
Aメロ、Bメロではギターほぼお預け。
聖子の歌をきちんと聴かせようということなんでしょう。
あまり過剰に音を飾り付けずに余計なものを削ぎ落すアレンジは元々の作曲時点で優れていれば、とても有効だと思うんですけど、これは曲自体はかなりシンプルなのでアレンジや耳に残るギターリフの勢いで乗り切った方がいいんじゃないかって思いました。
続きAメロ
| A | A | Bm | Bm | D | E | EonF# | EonF# F#m |
A | A | Bm | Bm | D | E | F#7sus4 | F#7sus4 |
キーはA。
ベースは基本的にルート音を8分で刻むだけで特にこれといった工夫はなし。とはいえ歌のメロディ部分が面白ければいいんですが、それも平坦な感じで別に面白くないので、退屈といえば退屈な部分……(;_;)
Bメロ
| G | A | F#m | G | Em F#m G| G A | B♭ | C |
キーはD。転調して盛り上がりを演出してます。
キーボードの白玉を足したりコーラスを入れたりして、少々寂しかった感のあるAメロよりちょっと厚みがありますよね。
最後のB♭→C→D(♭VI→♭VII→I)と続くコード進行は「夏の扉」でも出てきていて印象的でした。(私をどこかつれていっての部分)
サビ
| D A Em|Em Bm | G | G | Em | Em A | D A Em|Em Bm | C | C | D |Em | F#m | Bm | C | Em A |
キーは恐らくD。
至ってシンプルなコード進行ですが別にひねる必要があるような曲でもないのでこれで良いと思います。
サビのメロディーの「おーねーがいや、め、てー、きずつーけ、な、い、で、よ、ねー」の太字の部分が裏拍に来ているんですけど、下の動画での聖子とかもリズムきっちり合ってるんでそこは本当にさすがだなって感じる。リズム感に定評のある聖子ちゃん!(((o(*゚▽゚*)o)))
3.最後に
まだまだ「we are love」については語り足りないし掘り下げたい曲もあるので、また何度か?記事で近々取り上げると思います。( ´∀`)
それでは皆さん、また会いましょう!(@^^)/~~~
show-yaにUNICORNにスピッツにプリンセスプリンセスに……そして、松田聖子も! 編曲家・笹路正徳という男
1.笹治正徳とは?
こんにちは、研究員第一号のいっきゅうです!
突然ですが皆さん、笹治正徳という男を知っていますか?
もちろん、このブログで取り上げるぐらいなので聖子の楽曲に関わっています。
それらの楽曲に触れる前に、まず簡単に笹治正徳という男について説明しておきましょう。
彼の幼少の頃の楽器経験についてWikipediaに書いてあったので引用します。
4才の時からピアノを始め、小学生でザ・ベンチャーズ、ザ・ビートルズ等に憧れ、ギターを手にする。中学時代はクリーム、ジミ・ヘンドリックスに傾倒するとともにラリー・コリエルでジャズに出会う。東京学芸大学附属高等学校入学後、自分より上手いギタリストに出会い、キーボードに回帰。その後、ミュージシャンではなくレコード会社や音楽出版社などへの就職を志して慶應義塾大学に進学する。同大学のジャズ研究会でジャズ・ピアノの研鑚を積んでモダン・ジャズの奏法を習得したのち、当時盛行していたフュージョンを中心とした音楽活動をする。[1][2]
なるほど~、元々物心つくかつかないかの頃からピアノをやっていて、小学生からはギターをやり始めたんですねえ。
その後、高校入学と共にキーボードに回帰とあります。じゃあギターは?となりますが、恐らく、これは推測ですが、ギターはギターで弾き続けていたんじゃないかなと思います。
自分より上手いギタリストに直面して、自分の腕ではプロのギタリストにはなれない、と悟ってしまったのではないでしょうか。
それはギターを愛していたからこそ、ギタリストを尊敬していたからこその決断なんだと、僕は思います。( ノД`)…
つまり、笹治さんはピアノはもちろんですが、それと同じぐらいギターも好きなんじゃないかなと、なんとなくそんな気がするんですよ。
というのも、笹治さんのバンドの曲や編曲した曲の大半では、ギターを強調して使っているんです。
2.笹治正徳の作品
2.1「Nazca」
例えば、83年から87年まで笹治さんは「NAZCA 」というバンドをギターの土方隆行さん(ちなみにこの人も聖子の楽曲に何度か携わっていますよ!)と組んで、三枚のアルバムを発表しているんですが……
これがまあハードロックなんですよ!
間違いなく70年代や80年代のハードロックを聴いて、影響を受けているんだと思うんですよ。
ギターの土方さんもその手の音楽が好きっぽいので意気投合したんでしょうね、きっと。(´・ω・)(・ω・`)ネー
この三枚のアルバム、amazon musicのアンリミテッドで全部聴けるので興味ある人は聴いてください。プログレ要素もあって、どれもなかなか聴き応えありますよ!
2.2「show-ya」
さらに決定的なのは、笹治さんはshow-yaのアルバムを手がけたことがあるということです。というか、プロデュースしていました。
皆さん御存じだと思いますが、show-yaとは歴としたハードロックバンドであり、ヘヴィメタルバンドであります。
笹治正徳がプロデュースしたアルバムがこちらです。
「限界lovers」や「私の嵐」等のヒットシングルも入っているアルバムであり、約60万枚のセールスを記録しました。
キーボードが特徴的ですよね!(。-`ω-)
確かに笹路正徳っぽいです。
2.3「ササジーズ」
そしてさらに!笹治正徳が91年に組んだバンド「ササジーズ」のアルバム。
これもAmazon musicのアンリミで聴きましたが……はい、完全にハードロックですありがとうございました(笑)。
2.4「その他」
と、思っていましたが、アーティスト、曲によっては非ハードロックのものもたくさんあります。(例えばUNICORNやプリンセスプリンセスやスピッツ等)
当たり前っちゃ当たり前ですが。
はい、もう説明不要の名曲ですね!僕も大好きですこれ( ;∀;)
この「世界でいちばん熱い夏」は笹路正徳編曲です。
「暑い」じゃなくて「熱い」なのが熱いよねー(´ー`)
3.笹治正徳作品の特徴
では、彼の編曲の特徴はというと、キーボードをかなり多用するのが特徴的だなと思います。というかまあ、彼はキーボードの演奏者だから当然なんですけど。
音圧のあるギターサウンドにブラス系、シンセリード系やオルガン系のキーボードを被せてくるパターンが多いです。
単純に、キーボードの主張が激しいので曲全体に厚みがあって華やかなサウンドになるイメージです。
この傾向は、NAZCAでもササジーズでもshow-yaでもUNICORNでもプリンセスプリンセスでも松田聖子でも見られます。
有名どころだと、Van halenのアルバム「1984」や「5150」をイメージすると分かりやすいかも。
いかにもTHE 80年代って感じです。
ただあくまでも91年頃までの話で、96年にリリースしたスピッツのロビンソン(笹治が編曲を担当)では以前よりおさえ目にしたりしています。
時代的にハードロックは廃れて来ていた頃なので、時代を読んで流行に合わせる力もあるのでしょう。プロの編曲家ですもんね(*`・ω・)ゞ
笹治さんはあまり打ち込みを使わず、あくまでもバンドサウンドに拘るのが印象的で、打ち込みを使うことも多い大村雅朗さんとはその点では対照的かもしれません。
4.笹治正徳の松田聖子作品
ここで、笹治正徳さんが担当した80年代の松田聖子の曲を聴いてみましょう!
4.1「チャンスは2度ないのよ」
この曲は1987年に発売された「Strawberry Time」というアルバムの収録曲で、「チャンスは2度ないのよ」というタイトルです。
作詞:松本隆 作曲:広石武彦 編曲:笹路正徳 です。作曲の広石さんはUP-BEATというバンドのボーカルですね。(今回は詳しくは触れません)
この曲では曲の雰囲気に合わせてピアノ系の音も結構使っていますね!ギターもクリーントーンですし、こういうセンス命のポップな曲に仰々しいシンセの音を被せたら台無しもいいとこですもんね(笑)。そこら辺のバランス感覚も笹路さんはさすがですね。
では次の曲!(/・ω・)/
4.2「Precious Heart」
この曲は皆さんご存知だとは思いますが、1989年に発売された「Precious Heart」という曲でシングルカットされています。この曲でオリコン1位を逃し、シングル首位連続獲得数は24作で止まってしまった。てかそれでもかなりすげーよ!「Precious Moment」というアルバムにも収録されています。
作詞:Seiko Matsuda 作曲:奥居香 編曲:笹路正徳 です。
そして、作曲の奥居香とはプリンセスプリンセスのボーカルですね。恐らく、奥居さんが作曲するということで、プリプリの方で親交がある笹路さんが編曲を担当することになったんでしょう。
やはり「プリプリ勢」の二人が作っただけで結構プリンセスプリンセス感ありますよね!
基本8ビートで進んでいくとことか、ギターのシンプルなリフとか、サビも声を伸ばせるように余白のあるメロディーにしたりとか、サビで被せるキーボードの装飾とか、正に先ほどの「世界でいちばん熱い夏」を想起させます。
AメロとBメロではピアノ音を効果的に使うことによっていわゆるコード感が増しています。
5.「We Are Love」
そしてそんな笹治さんが全曲の編曲を担当しているアルバムがあります。
それがこの「we are love」です。
……と、ここまで書いて既に3500文字を超えていますので、今回はここまでとします。m(__)m
次回は聖子のアルバム「We Are Love」を掘り下げます!(=゚ω゚)ノ
記事2発目にして衝撃の事実が発覚した件
1.「松田聖子研究会」なるものが存在するらしい
1.1 マジで知らなかった
おはようございます、研究員第一号のいっきゅうと申します!
はい、記事の通りです。
このブログの名前が「松田聖子研究室」なんですが、なんとそれと一文字違いのコンテンツが存在するらしい……
何だよ松田聖子研究会って!!!
知らねーよ聞いたことねーよ!!!
完全にここと被ってるじゃねーかよ!!!(#゚Д゚)y-~~
……本当に偶然なんですよねえ。試しに松田聖子研究室で検索してみたら、松田聖子研究会があるときたもんだからびっくり仰天アンビリバボーですよ、はい。(´・ω・)
あ、ブログの名前は変える気はないです。松田聖子研究会ってのはもう活動してないっぽいし。
1.2 書籍があるらしいが
あーーうん、えーと、あのー……とりあえずまず、まずね?一ついいですか?
たけーーよwwwwww
下のに至っては98000円っておまwwwwww
おめえもう買わせる気ねえなwwwwww
いやほんと、カミナリのツッコミみたいに頭はたきたいよね。誰が買うねんこんなもんこの値段でっていう。なぜここまで高騰したし。┐('~`;)┌
いや皆さんもね、こんなもん買う金があったら聖子のディナーショーにでも行きましょう。もしくは寄付ですね。
1.3 一体何を研究してたんでしょうねえ……
さて、ちょいと気になるのはこの本の内容ですよね。まあ、98000円出して読む気にはさらさらなれないですが(笑)
どうやら、1つは聖子が離婚した時の真相( )を突き止める本、もう1つは聖子の生き方及び人生論についての本みたいですね。
しかしまあ、低俗な匂いがぷんぷんと……。
当時(多分90年代)、上記のような聖子のゴシップ本や記事を書けば売れる、と言われていたらしいですが、彼らも同じように便乗したクチなのでしょうか。
正直僕はこの手のものに関しては言いたいことが山ほどありますが、とてもこの記事におさめられるような内容ではないので、それらはまた今後にとっておくことにします。
2.ブログ名の由来
で、そもそもなぜ僕がブログ名を松田聖子研究室にしたかなんですけど、それは至ってシンプルな話です。
大学では教授一人一人が研究室を持っていて、学生も皆何かしらの研究室に入りますよね。
もしも、松田聖子に関しての研究をする研究室があったら面白そうだなあ、なんてアホなことを考えて、この名前にしました。
はい、それだけのことです。特に面白いことはありません。( ・ω・)
3.当時を知らないということについて
それでですね、ブログ開設当初についでに触れておきたいのが、僕が聖子のいわゆる全盛期、
80年代を全く生きていないことについてです。
90年代もまあ生きていないに等しいです。
つまり、僕は当時の世相や雰囲気といったもろもろを一切知らないのですよ(もちろん情報としては知っているし勉強もしているがそれとはまた別)。
先ほどの本の話にも繋がりますが、松田聖子がメディアからどのような扱いを受けていて、どのような振る舞いをしていたかは一切リアルタイムで見ていないですし分からないのです。情報をもとに考察、想像することはできますが。
恐らく、若者ファンが彼女についてのそれを調べることは、皆さんが歴史の教科書や資料を読んで、この時代のこの人物はきっとこんなだったのだろうと想像力を働かせる作業にきっと似ています。
今後もし僕がいろいろと意見を言ったとしたら、当時を知らないクソガキが生意気に講釈たれてるんじゃないよと思うでしょうし、確かに僕もそう思いますが、僕みたいな世代の目線の意見や批評は意外と有用なんじゃないかと思うんです。
つまり、その時代を生きていないからこそのフラットさ、とでも言いましょうか。
思い出ではなく歴史として処理できる故の強み、これらは確かにあると思います。
フィルターを通さずに、比較的クリアなレンズで本質的に松田聖子をとらえることができる……
かもしれないですよね。( ´・∀・`)
あと50年もたてば、松田聖子はほぼ完全に「歴史」になるわけです。
もしかしたら、松田聖子の本当の凄さが分かるのは、その時なのかもしれませんね。
……まあ、長々とワケわからんことを書き連ねましたが要は、僕の意見や批評はクソガキがなんか言ってらあ程度の感覚で聞いてもらっておkということです(笑)
(それから、ここでえらく抽象的なことしか書いていないのは、聖子のメディアでの扱い等については、また後々に詳しく具体的な記事を書きたいと思っているからです。)
4. また会いましょう
それではこの記事はこの辺で終わりということで……まだ研究できていませんが、まあプロローグと言うことで許してくだせえ( ・ω・)
ゆったりとやっていきますんで……
では、また会いましょう!